研究課題
2005年の健康日本21の中間評価では「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性を否定できない人」の合計が約1620万人に達し、5年前に比べて約250万人も増加している。このような状況の中、血糖値をコントロールできる食品が、糖尿病予防の観点から緊急に求められている。昨年度までは結晶セルロース添加によって血糖をコントロールできる米の改良を行い、ヒト試験で食後血糖から機能性を評価してきた。本年度は、食後血糖に関連が深い小腸での糖吸収メカニズムと結晶セルロースの作用機序を明らかにすることを目的として、動物実験を行った。供試動物としてスンクスを用い、セルロースを添加したモデル内容物をカテーテル経由で十二指腸に麻酔下で注入し、15分後に小腸を採取しドライアイスで凍結させた。凍結させた小腸から内容物ごと凍結切片を作成して、切片上から内容物を局所的に採取し、直径方向の糖濃度の分布から調べた。その結果、1)管腔内の糖の移動速度は経皮輸送速度よりも遅く、糖吸収の律速段階である可能性が高くなり、2)結晶セルロースが管腔内の糖の移動速度を遅くし、糖の吸収速度を緩和させる可能性を示した。これまでのラットの実験で、結晶セルロースは小腸での糖の吸収速度を遅らせることが動物実験で明らかであるが、今回の結果から結晶セルロースによる小腸管腔内の直径方向の移動速度の低下が糖の吸収速度緩和と関連が高いと考えられる。結晶セルロースを用いた加工米に見られる血糖上昇緩和効果は、胃だけでなく小腸でも効果を発揮している可能性が高い。
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