研究課題
申請者らは、ある種の野菜が増殖因子様リン脂質・リゾボスファチジン酸(LPA)を多量に含んでいることを見出した。このLPAは創傷治癒に関わることから、LPAを含むあるいはLPA産生をもたらす植物素材から抗潰瘍性食を作ろうと研究を開始した。以下に本年度の研究結果を示す。・ホスホリパーゼD活性を有する食品素材の検索ホスホリパーゼDは天然に豊富に存在するリン酸ジエステル型グリセロリン脂質に作用してホスファチジン酸を作る酵素である。生成するホスファチジン酸は消化管内で消化酵素ホスホリパーゼA2によりLPAへと変換される。従って、この酵素活性が高い植物は抗潰瘍性食の素材候補である。調べた結果、キャベツ、ダイコン、ヨモギ、ニンジンなどに高い活性がみられた。・潰瘍モデル動物の作成0.3規定塩酸/60%エタノールの経口投与でラットの胃潰瘍を作成することができた。今後、この胃潰瘍モデル動物を用いて各種素材の抗潰瘍試験を行う予定である。・培養細胞系を用いた抗潰瘍性試験胃上皮様の3種の培養細胞株を用いて増殖試験、創傷治癒試験およびムチン産生試験を行った。その結果HGC-25細胞が最もよくLPAに応答すること、キャベツ脂質はこの細胞に対して、創傷治癒活性を持つことなどが確認できた。HGC-25細胞とAZ521細胞についてムチン産生試験を行い、LPAはmRNAレベル、蛋白レベルで共にムチンを産生する傾向が観察され、胃粘膜保護の観点から継続してこれを検討する。
すべて 2008 2007
すべて 学会発表 (4件)