研究概要 |
宇都宮大学船生演習林を対象として,分布型表層崩壊モデルによる樹木根系の崩壊防止機能の定量的評価を行った。対象演習林の総面積は約530haであり,その内およそ320haがヒノキ人工林である。1998年の8月末の豪雨によって演習林内のヒノキ人工林を中心に表層崩壊が発生している。ヒノキ人工林全体の林齢面積頻度分布と比較して,山腹崩壊が発生した林齢面積頻度分布は若齢林にシフトしていた。この対応関係を説明することを目的として林齢-粘着力関係を考慮した分布型表層崩壊モデルによる検討を行った結果,根系の補強効果を考慮した粘着力の値はおよそ5.3kPaから7.6kPaの範囲にあり,ヒノキ人工林の表層崩壊防止機能は林齢20年前後で最小になることが示された。
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