研究課題/領域番号 |
19580163
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小林 達明 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 教授 (40178322)
|
研究分担者 |
野村 昌史 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (50228368)
佐々 英徳 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (50295507)
|
キーワード | 保全生態 / 湧水湿地 / ズミ / 自家不和合性遺伝子 |
研究概要 |
1.結果率が低い柏市こんぶくろ他のズミ個体群と高い結果率を示す群馬県玉原湿原のズミ個体群について、リンゴ栽培種の自家不和合性対立遺伝子抽出に用いられるASPF3とASPR3プライマーを用いて、自家不和合性遺伝子型を調べて比較した。前者では6種類、後者では4種類のS対立遺伝子が確認され、このほかに使用したプライマーでは増殖できないS対立遺伝子があった。前者のS対立遺伝子多様度は低くなく、その結果率の低さが、自家不和合性遺伝子の多様性低下に起因するものではないことが確認された。 2.自家不和合遺伝子型を考慮したこんぶくろ池産ズミの交配実験を行った。その結果、自家不和合性遺伝子型が対立遺伝子の二本とも異なる個体同士の交配では、88〜92%の結果率だった。自家受粉では0%、自家不和合性対立遺伝子のうち一本が互いに等しい個体同士では21%の結果率となり、自家不和合性システムが機能していることを示す。 3.こんぶくろ池とその周辺の植生調査を行い、5タイプの森林植生と 5タイプの湿地植生を把握した。森林植生はアカマツ林とクヌギ・コナラ林に大きく分類され、前者はマツノザイセンチュウ病によって近年の枯損が急激に進んだ。後者は下層にアズマネザサが密生する型とそうでない3つの型に分類された。湿地植生はオニスゲ・ハンノキ群集とクヌギ・コナラ群集に大別された。後者は攪乱地型のほか3つの型があった。ズミやゴマギといった貴重樹種は、オニスゲ・ハンノキ群集とクヌギ・コナラ群集の下層に夏緑草本・中低木を含む型で出現した。
|