ドイツ林学から派生した林学のヴァリエーションを、山地林管理の変遷という視点から統一的に分類整理・分析することが、本研究の全年度を通じての目的である。途中から「山林監守人の性格変化」に論点を絞り込んだ。本年は最終年度にあたり、僅少な予算上の制約の中で、下記の研究を行った。 1.文献調査:日欧米等における、近世における林野利用の共同体的規制と、近代以降の監守人制度との関係について、補完的な文献を、引き続き幅広く調査した。具体的には、別途経費によりFAO本部のドイツ語文献資料室ならびに、フランス林業学校資料室に赴いた。 2.研究のとりまとめ:2010年4月、森林学会で「」と題する口頭発表を行い、研究者間でディスカッションを行った。同月、『世界の林業』(白石則彦編著)の「フランス」の章を分担執筆し、本研究で得た歴史的知見を豊富に盛り込んだ。2010年10月に、ローマの国際学会で「」と題するポスター発表を行った。2011年3月にフランス林業学校資料室にて、a.日本が明治10年代に翻訳紹介したフランス語文献の原典の確認、b.19世紀に同校を卒業の後、英国植民地を転々とした後、ニュージーランドに着任してNZ林政に多大な影響を与えた(Rossによる)Hutchinsについての情報を得た。 3.付記:2011年3月のフランス調査の途上で、東日本大震災が発生し、帰国後、学生への連絡など震災対応に追われ、また、日本の港湾状況が不明であったため、フランスで得た資料は後日日本に郵送するよう依頼しており、この点についてのとりまとめに遅れを来している
|