研究概要 |
動物における成長におけるベルタランフィーの微分式で示された成長式を考慮した場合、植物の成長もまた同化(光合成)と異化(呼吸)の差の結果として示されると言える。しかしながら、植物のある器官(繁殖器官など)を考えた場合、他器官、特に葉からの光合成産物の転流物を考慮に入れる必要があると考えられる。それ故に、転流を考慮した場合、植物のある器官の成長はその器官の炭素バランスを推定するためのコンパートメントモデルを基にして、既報のドリアンに関する転流、光合成、呼吸の測定結果を用いて解析された。転流量、光合成量、呼吸量と果実重はそれぞれ、巾乗式で示すことができ、これらの関係式から転流量と成長量は比例関係にあることが分かった。この転流量と成長量の比例関係はクスノキ果実でも成立することが分かっている。この果実の転流量と成長の比例関係から、本研究では果実の成長は拡張されたベルタランフィーの微分成長式で表すことができ、成長量と転流量が比例関係にある場合、通常の単純なベルタランフィーの微分成長式で表すことができる可能性があることが示唆された。また、植物のある器官重と全重との相対成長式が成り立つ場合、器官のベルタランフィーの微分成長式は、植物体自体のベルタランフィーの微分成長式に拡張可能であることが示唆された。また、Hozumi(1985,1987)の提案した樹木の幹材積におけるu-w解析も果実の重量成長に応用可能であることが分かった。
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