研究課題/領域番号 |
19580174
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
井上 幹生 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (10294787)
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研究分担者 |
中野 伸一 愛媛大学, 農学部, 教授 (50270723)
二宅 洋 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (90345801)
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キーワード | 人工林 / スギ / アマゴ / 河川性魚類 / 底生動物 / 渓畔林 / リターフォール / 粒状有機物 |
研究概要 |
本研究は、河川内の食物網に着目し、河川生物群集に対する食物資源の供給という点から人工林の機能を明らかにすることを目的としている。具体的には、人工林と天然林とで以下6点を比較し、人工林の特徴を抽出することを計画している。(1)河川に供給されるリター(底生無脊椎動物の餌)の量、質、およびその季節的動態、(2)河床に堆積しているリター現存量の季節的動態、(3)河川内におけるリターの分解速度、底生無脊椎動物のリターに対する選好性、(4)河川に供給される陸生昆虫(魚類の餌)の量、質、およびその季節的動態、(5)魚類の森林由来の餌に対する依存度、および(6)魚類および底生無脊椎動物の個体数、現存量および群集構成。 2007年度(H19)は、前年度中に設定した調査地6サイトにおいて、上記(1)、(2)、(4)、(5)、(6)のサンプリングに着手し、(1)、(2)、(4)、(5)については順調にサンプル処理を続けている。得られたデータまでを検討した結果、以下のような傾向が得られそうである。(a)河川に供給されるリターは、人工林と天然林とでは総量に大きな違いは無いが、季節的動態は異なり、天然林のほうが変動が大きい。(b)河川内のリター現存量についても、同様に、天然林のほうが変動が大きい。つまり、天然林よりも人工林のほうが、リター食の底生動物の餌資源は安定している。(c)魚類(アマゴ)の森林由来の餌に対する依存度は、人工林、天然林ともに、冬以外の時期では非常に高い。(d)人工林よりも天然林のほうが、餌の供給量が多い。本調査のように、人工林と天然林とで供給物の季節的動態を観測した例は非常に少ない(特に上記4について)。今後、サンプル処理をすすめ、統計的に解析を行い、これらの傾向を確かめる予定である。
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