〔沿岸域自生植物による屋上緑化およびヒートアイランド緩和技術の開発〕 沿岸域の植物探索は、沖縄で屋上緑化に関する調査・研究を行っている(財)海洋博記念公園の研究者との情報交換、現地調査で宮古島、来間島、与那国島を踏査した。琉球石灰岩の沿岸岩礁上の主な植物はミズガンピ、コウライシバ、ソナレムグラ、テンノウメ、グミモドキ、ハリツルマサキ、ガジュマル、キキョウラン、ハイシバ、オオハマボウ、ナンゴククサスギカズラ、ホソバワダン、クサトベラ、ハマゴウ、オオイタビ、クライゲ、ホウライシダなど計37種を記録した。これらの植物のうち屋上緑化用の実験植物材料としてホソバワダン、テンノウメ、ミズガンピの3種を増殖中である。沖縄島南部の琉球石灰岩地の掘削岩を入手し、岩石形状およそ83cm(高)×92cm(最大長)を高さ面20cm幅ごとに切断、次年度に裁断岩石の性質、岩石中の土壌を調査する。 屋上緑化に可能性の高いコウライシバは各地の材料を採取し、栽培、地域別の性質について調査中である。 現在調査中の沿岸域植物を屋上緑化に使用した際に温度低減効果がどの程度見込まれるのかを明らかにするための実験方法について予備的検討を行った。実験装置はレンガを数本立て、その上にコンクリート床板スラブ(600×400×50mm)を置き、防水シートを敷設し、それに木組みの枠を被せたものを用意した。その枠内に、(1)ベゴニア植栽のプランター、(2)土だけを入れたプランター、(3)直接土を入れノシバ張り、(4)土のみ、(5)スラブのみの5種類の条件を設定した。各スラブの裏側中央に温度センサを貼り付け、近傍の外気温とともに、10分間隔で測定した結果、植物の違い、その他条件の違いによって、スラブ下面の温度に優位な差が表れており、実験方法が有効であると考えられる。
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