沖縄群島の中部、八重山群島を調査した。平成19年度の宮古群島の結果と合わせて沿岸域における琉球石灰岩礁上の植生・植物相をほぼリストアップした。林分植生は階層高約5m以上〜20cm、小高木性のミズガンビが階層高約20cmで大班状あるいはカーペット状に発達した群落がみられた。屋上緑化用の植物種は生態的生活形を基本にした機能性・活用性による分類が考えられた。屋上緑化型分類は5群に区分され(1)階層性(高木、中・小高木、低木、草状低木、ツル性、草本)、(2)鑑賞性(群度、形状、花、果実、葉)、(3)気根・付着根性、(4)飲食性(ハーブ、山野菜)、(5)季節性(常緑、落葉、多年生、1年生、ポイント型・シダ植物)であった。屋上緑化の手法による気象緩和効果の表れ方について、(1)コンクリート床板スラブのみ、その上に(2)ベゴニア植栽のプランター(密度小)、(3)ベゴニア植栽のプランター(密度大)、(4)土だけを入れたプランター、(5)直接土を入れ全面ノシバ張り、(6)土のみを入れたものの6種類によるモデル実験を行った。ヒートアイランド現象緩和(屋上表面温度の低下)としては(3)が、室温低下としては(5)が最大の効果を発揮した。実験そのものは小規模なものであるが、必ずしも屋上全面の緑化ではなく、比較的簡単なプランターによる緑化であっても、資材の選定および植栽密度の制御によって気象緩和効果が大きいことが伺われた。自生芝類のッルメヒシバおよびコウライシバの生育特性を明らかにするため、いくつかの芝草を合わせて草丈と乾物生産量の調査を行い、生育の季節変動を検討した。ツルメヒシバの生育は一般的な芝類と同様に高温期が旺盛で低温期に劣るが、コウライシバは両期における生育量の差が小さく、通年ともほぼ一様の生育を示す特徴がみられた。実験結果は屋上緑化の維持管理に重要な情報を提供するものと考えられた。
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