琉球列島の南から北まで主要なの琉球石灰岩礁上の植生と植物相を調査した。屋上緑化用植物は生活形から5群に区分され、植栽配置から優先度・群度で(1)大群状、(2)大斑状、(3)小斑状、(4)群状、(5)単生および混生、の5区分が検討された。島尻マージ(暗赤色土、石灰質土壌)のゲッキツとソテツが生育する土壌に蓄積する腐植物質は石灰岩由来のカルシウムにより表面が覆われていることが考えられ、地上部のリターの影響を受けて蓄積した腐植物質の性質が異なることが示された。那覇市では屋上緑化の補助を行っているが、屋上全面緑化の費用は高額でなかなか緑化が進まない現状がある。比較的安価で容易に実行できる屋上緑化手法としてプランターの利用が考えられその気象緩和効果を検証した。総合的には全面芝張りが最大の気象緩和効果を発揮したが、土のみでもある程度の効果があることが確認された。プランター緑化であっても芝張りとの有意差が認められない場合もあり、植生の形態や密度に配慮すればプランターによる簡易で安価かつ効果的な屋上緑化が期待できることが示唆された。景観保全に関する評価実験の結果、緑の量や田舎的、沖縄的、やすらぎ等が重要視されるのではないかと推察された。自生する数種の芝植物の生育特性から、芝草の高温期(夏季)における成長(乾物生産速度)はいずれも旺盛であったが、草高の伸長速度はコウライシバ、パスパラムは比較的緩やかな生育を示した。低温期はノシバやパスパラムのように休眠状態となる草種と、コウライシバ、コウシュンシバ、ツルメヒシバのように、ある程度の生育を維持する草種とに分かれた。景観形成から、冬季においても生育を維持するコウライシバなどが緑度を保っため有効であることが考えられた。屋上緑化は今後とも、植物材料種の選択、その生態生理的性質、基盤土壌の適応性、育種、季節性、景観、人の感覚性などにいたる総合的な実験・研究が望まれる。
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