研究課題/領域番号 |
19580179
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
上村 章 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究員 (30353600)
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研究分担者 |
宇都木 玄 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, チーム長 (40353601)
飛田 博順 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, 主任研究員 (10353781)
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キーワード | 地球温暖化 / 分布北限 / 冷温帯樹種 / ブナ / 光合成 / 蒸散 |
研究概要 |
本研究では、分布北限が異なる数樹種を材料に、葉の環境ストレスが分布北限の規定要因となるかを明らかにすることを目的としている。本研究の成果は、地球温暖化等、環境変動が生じた際の樹木の分布、活力度(成長)への影響を予測する上での基礎情報として重要である。 本年度は、最終年にあたるため、これまで得られたデータの整理を中心とし、不足データの測定を行った。森林総合研究所北海道支所樹木園に生育する、自然分布北限の異なる落葉広葉樹数樹種に関して、クチクラ蒸散量の測定を行った。測定は、成木の光が良く当たる場所にある枝を高枝切りを用い採取し、環境調節実験棟内の人工気象室に持ち込み行った。ヤナギやカツラのような渓畔林樹種は、クチクラ蒸散や暗処理下での気孔からの蒸散量が多く、潜在的に水消費が多い樹種であることがわかった。ブナも葉からの水消費が多い樹種の一つであった。温暖化により大気の飽差が増大した場合、水消費の多い樹種は、葉がしおれるのを防ぐために気孔開度を低下させ、光合成速度が低下し成長が低下することが予測された。葉の形態的特性の可塑性の大きさは、現在の分布や環境変化に対する応答を決める重要な要因となることから、さらに、樹種による可塑性の違い、特性の変化に伴う環境応答性の変化を明らかにしていく必要がある。
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