研究概要 |
次の三点について検討した。 1.電極配置の影響:3×3配列の試験体(断面30mmX30mm)を桟積み状態で生材から乾燥過程でインピーダンスを計測するように,供給側に平板,検出側に分割電極(電極幅30mm,電極間の隙間10mm)を配置した。検出側電極を順次切り替え,4端子法により行・列方向の局所インピーダンスを計測し,水分の偏りが検出された。試験体の桟積み位置を変えるとインピーダンスが変化し,電極間の位置で感度の不均一性が認められ,電極に近い位置の感度の大きかった。試験体6段配置の場合にも同様な傾向が認められた。検出側電極に接する試験体が欠落するとその影響が大きく,電極配置と電界強度に関する情報がえられた。 2.周波数依存性:周波数100Hzから30MHzの範囲でインピーダンスはほぼ単調に低下し,1MHz以上での変化は小さくなった。1MHz以上では電極を繋ぐリード線の容量に起因すると考えられる共振が数箇所で起こり,インピーダンスと位相が大きく変化した。含水率変化の検出には,共振現象が発生しない,安定して比較的インピーダンスが大きい値を示す100kHzから1MHzあたりの周波数が適すると考えられる。 3.トモグラフィー逆計算:インピーダンスから積算含水率への変換式は高含水率と低含水率で二本の指数関数で接続した。逐次近似法による含水率の逆計算結果は,繊維飽和点以下では全乾法による値の傾向と近似したが高含水率域ではばらつきが大きくなった。逆計算アルゴリズムに起因するずれが生じることがわかり,6×6配列の場合について検討した結果,桟積みの四隅と中央付近の含水率を小さめに,その他の部分を大きめに予測する傾向が見られた。個別木材の含水率に変換する際のポスト処理に利用する補正の手順が得られた。
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