研究概要 |
自然乾燥中における桟積み木材による計測:自然環境下で小試験体(3cm×3cm×65cmスギ生材)および実大柱試験体(10.5cm×10.5cm×2mスギ生材)を6列6段の桟積みにしてインピーダンス計測(100kHz,10kHz)を行った。桟積み木材の行・列方向のインピーダンスは乾燥の進行に伴う含水率変化を反映し、インピーダンスから積算含水率への換算式を導いたのち逆計算法によって個別木材の含水率を推定した。特異的に含水率の高い試験体が電極に接する位置に存在すると電気力線のゆがみが生じ、推定含水率の誤差の要因となったので、その修正法を導いた。推定された含水率は、繊維飽和点以上の含水率の高い範囲でのばらつきが大きかったが、人工乾燥材において含水率検査で重要となる15-20%では狭まった。全乾木材について室温から90℃におけるインピーダンスの温度依存性が観測されたが、乾燥による含水率変化の影響が重要であった。 実機による人工乾燥への適用試験:実大スギ柱材(10.5cm×10.5cm×3m、生材)を蒸気式木材乾燥機中に6列6段の桟積みにして高温低湿処理乾燥プログラムに従って乾燥を実施し、インピーダンス計測(10kHz)を行った。実大柱材の乾燥においてもインピーダンス変化が観測され、検討した手法が乾燥機外部からの含水率モニタリングに有効なことがわかった。 総合的にみて、分割電極を配置して逆計算法を適用する高周波水分CT方法は、従来乾燥機中などモニタリングが困難であった桟積み木材の乾燥推移を予測するのに有効であり、推定含水率の精度向上には逆計算のアルゴリズムの改善であることがわかった。
|