強力なリグニン分解菌として知られ、また全ゲノム配列が発表されている白色腐朽菌P.chrysosporiumをブナ木粉添加培地で培養し、菌体外に分泌される水酸化ラジカル生成物質を回収した。その後、Sephadex G-50によるゲルろ過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィーによって精製した水酸化ラジカル生成物質を、Tricine-SDS-PAGE後、PVDF膜にプロッテイングし、バンドを検出した。このバンドのN末端アミノ酸配列および内部配列を解析した。このアミノ酸配列とNational Center for Biotechnical Information (NCBI)などのデータベースに対して、TBLASTNを用いて相同性検索を行ったが、相同性のあるタンパク質は検出されなかった。しかし、P.chrysosporiumのゲノムデータベースに対してTBLASTNを用いて検索を行ったところ、ゲノムscaffold 2 の配列中に高い相同性を示す配列が検出された。そこで、その配列を用いてプライマーを作成し、RACE-PCR産物をクローニングすることによって、水酸化ラジカル生成物質のタンパク質部分をコードする遺伝子glp1とglp2を得た。さらにこれらの遺伝子の5'末端および3'末端の非翻訳領域を解析しcDNAの完全長およびゲノムDNA遺伝子の全配列を明らかにしようとした。Gene Racerを用いたRACE法により、glp1の5'末端および3'末端、glp2の3'末端を明らかにすることができた。
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