研究課題
本研究では、シロアリが巣仲間とのコミュニケーションに用いる振動パターンを解析し、この振動パターンを人工的に合成し投与することにより、「集団」としてのシロアリの行動を制御することを目的とする。本年度は(1)木材媒体の振動周波数解析(2)シロアリ種別の振動パターンの人工的合成(3)合成した振動信号のシロアリへの投与を行った。なお外部刺激は白色LED光に統一した。ネバダオオシロアリを供試虫として、加速度ピックアップおよびレーザドップラ振動計を用いて、各種振動信号を伝達する基質(木材)側の振動特性を計測したところ、1~1.3kHzに特異的周波数ピークが計測された。次に、ネバダオオシロアリのtapping行動をCCDカメラで観察・記録するとともに、頭部を基質にたたきつけることで生じるtapping音を高感度コンデンサーマイクロフォンで録音し、tapping音の周波数解析を行った。その結果、基本周波数は約1kHzであることが示された。さらにイエシロアリを供試虫として、ファンクションジェネレータを用いてイエシロアリ種固有の振動パターンを模倣・作製した。作製した擬似信号を振動子および木材を介してシロアリにプレイバックすることにより、シロアリの行動が攪乱されることを明らかにした。本研究の成果の一部について、特許出願を行った。これらの内容はシロアリの行動特性を利用した、環境配慮型の新たなシロアリ対策法の開発に寄与するものと考えられる。
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