研究課題/領域番号 |
19580205
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
海野 徹也 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (70232890)
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研究分担者 |
長澤 和也 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (40416029)
小路 淳 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (10397565)
斉藤 英俊 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教 (00294546)
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キーワード | クロダイ / 広島湾 / 卵密度 / 初期生活 / 仔稚魚 / サーフゾーン |
研究概要 |
本年度は昨年度の研究計画に従い、広島湾におけるクロダイの1.受精卵の分布密度や2.砕波帯における稚魚の生息密度を調査した。さらに、昨年度、実施した同様の調査結果を照らし合わせ、広島湾におけるクロダイの卵密度と砕波帯の稚魚分布について考察を行った。 2008年にける卵の採集は5月〜7月に計4回(5定点)で行った。採集にはNORPACネット(表層水平曳き;約2kt、5分)を用い、卵同定はモノクローナル抗体法で行った。稚魚の採集は6月〜7月に計5回(5定点)実施し、サーフゾーンネット(約50m、2回)を用いて採集し、一部の標本は日齢査定に供した。その結果、卵密度は昨年に引き続き、大黒神島北部で最大となった。また、2008年の調査で新たに調査定点に加えた宮島北西岸沖の卵密度は、比較的、低くかった。一方、砕波帯の稚魚は、宮島北西岸で分布密度が最も高いことや、産卵後期に生まれた個体が多く資源加入していることが明らかとなった。また、この結果は2007年度の調査結果とほぼ一致した。 2007年と2008年における卵の分布密度から、両年とも産卵は海岸から急深となっている海域(水深30m前後)で主に行われていると考えられた。卵密度より推定された産卵ピークには両年で差がみられた。 これは春先から産卵までの水温などの影響と思われた。一方、砕波帯の稚魚は、両年とも宮島北西岸で分布密度が最も高いことや、産卵後期に生まれた個体が多く資源加入していることが共通していた。ただし、2008年の単年調査では、稚魚密度の高かった宮島北西岸沖の卵密度は比較的低く、稚魚分布密度と卵分布密度が必ずしも相関していないことが明らかとなった。
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