本研究は、様々な海産プランクトンヘ適用可能な、高効率な遺伝子導入法を開発することを最終的な目的としている。初年度は、高効率な遺伝子導入法を開発するために、まず羽状目珪藻Cylindrotheca fusiformis由来のプロモーターを用いて、同目の珪藻Phaeodactylum tricornutumに対し、パーティクルガン法を用いて形質転換を試みたところ、従来の報告と比較して最も高い効率で、この形質転換が可能であることを明らかにした。この際、構成的発現型プロモーターのみならず、誘導発現型プロモーターも使用可能であることを合わせて明らかとした。本結果については、平成19年5月に山形大学において開催された第10回マリンバイオテクノロジー学会にて報告した。また、中心目珪藻であるThalassiosira pseudonana由来のプロモーターを用いて、餌料性微細藻類として重要な中心目珪藻Chaetoceros sp。の形質転換を試みたところ、これが可能であることを世界に先駆けて明らかとした。本研究成果については、平成19年9月に北海道大学にて開催された平成19年度日本水産学会秋季大会にて報告した。また、アグロバクテリウムを用いた形質転換を試みるために、ドイツ・Regensburg大学のKroger教授らに分譲して頂いた珪藻のプロモーターを含むプラスミドpNICgfp-bleと、豪州の国際農業分子生物学応用研究所(CAMBIA)より分譲して頂いたアグロバクテリウム用のTiプラスミドpCAMBIA2301を連結し、組み換えプラスミドを作製した。次年度は、これを用いて珪藻の形質転換を試みる予定である。
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