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2008 年度 実績報告書

フィンガープリント法を用いたトラフグ性特異的ゲノム領域の決定

研究課題

研究課題/領域番号 19580207
研究機関九州大学

研究代表者

山口 明彦  九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (10332842)

研究分担者 松山 倫也  九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (00183955)
キーワード水産 / 発生 / 分化 / 遺伝子 / 内分泌
研究概要

意義
海産魚のトラフグはゲノム解析が完了しており、遺伝的性決定を支配する染色体領域も明らかになってきた。しかし、魚類の性決定、性分化機構は曖昧さを含んでおり、我々の研究からトラフグもその例外ではないことが明らかになった。トラフグは遺伝的に雌雄が決定される魚種で、孵化後6週目に生殖腺の性分化が起きるが、女性ホルモン(エストロゲン)の合成酵素(アロマターゼ)阻害剤を含んだ食餌法により卵巣への分化が阻害され、機能的な精巣へと性転換が起きる。このため、阻害剤等を用いずアロマターゼ活性を安全に制御できれば、全オス化した白子を持つトラフグが食卓に並ぶことになる。しかし、トラフグではアロマターゼ発現までの機構は全く不明である。そこで本年度は、(1)トラフグ稚魚期の生殖腺の器官培養系を開発し、アロマターゼ発現機構をin vitroで解析した。(2)魚類のアロマターゼは脳型と卵巣型の2種類あるが、その役割分担は不明である。そこでそれぞれのmRNAの発現パターンを調査した。
実験方法と研究成果
(1)性分化前後のトラフグ稚魚から取り出した生殖腺の付着した筋肉塊を、脳下垂体放出ホルモンの一つである濾胞刺激ホルモン(FSH)存在下で培養をおこなった。その結果、FSHがアロマターゼの発現を活性化し、卵巣への分化、発達を促す研究成果を得た。これは裏返せば、性的未分化の稚魚期の脳下垂体からのFSH放出抑制またはその下流経路を遮断すれば、トラフグは全オス化することを示唆する。(2)RT-PCR法により、脳型アロマターゼは、脳だけでなく精巣でも発達とともに発現量が増加した。In situ hybridization法を用い、発現産物を解析した結果、その多くはスプライシング異常によるものであった。また、脳でも異常産物は確認できた。これは脳型アロマターゼの発現が魚類特有のスプライシング機構により調節される可能性を初めて示すものである。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Germ cell degeneration in high-temperature treated pufferfish, Takifugu rubripes2009

    • 著者名/発表者名
      Lee, K. H., et al.
    • 雑誌名

      Sexual Development 3(in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 全雄化は可能か? トラフグの性決定・性分化研究2008

    • 著者名/発表者名
      山口, 明彦
    • 雑誌名

      養殖 45

      ページ: 22-26

  • [学会発表] Estradiol-17βtreatment induces ovarian development in testis of pufferfish, Takitugu rubripes2008

    • 著者名/発表者名
      Lee, K. H.
    • 学会等名
      第5回世界水産学会議
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2008-10-23
  • [学会発表] トラフグ精巣に存在する2種類のbrain-typeアロマターゼmRNAの発現と分布2008

    • 著者名/発表者名
      山口, 明彦
    • 学会等名
      日本動物学会第79回大会
    • 発表場所
      福岡大学
    • 年月日
      2008-09-07
  • [学会発表] 卵母細胞型ラミンB3をリン酸化する硬骨魚類SRキナーゼの生化学的解析2008

    • 著者名/発表者名
      小川, 真理子
    • 学会等名
      日本動物学会第79回大会
    • 発表場所
      福岡大学
    • 年月日
      2008-09-06
  • [学会発表] Characterization of SR-kinases interact with RS-rich motif on germinal vesicle lamin B3 in teleosts2008

    • 著者名/発表者名
      山口, 明彦
    • 学会等名
      第60回日本細胞生物学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2008-06-29
  • [学会発表] Effects of exogenous factors on gonadal sex differentiation and development of fugu Talkifugu rubripes2008

    • 著者名/発表者名
      Rashid H.
    • 学会等名
      世界水産養殖会議 (World aquaculture)
    • 発表場所
      釜山
    • 年月日
      2008-05-19
  • [備考]

    • URL

      http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/asweb/sui1/lmb.html

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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