• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2007 年度 実績報告書

放流トラフグの種苗性向上のための行動学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19580209
研究機関長崎大学

研究代表者

阪倉 良孝  長崎大学, 水産学部, 准教授 (20325682)

研究分担者 崎山 一孝  (独) 水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所, 主任技術開発員 (90426312)
キーワードトラフグ / 放流 / 種苗性 / 行動 / 馴致
研究概要

天然トラフグ稚魚と、同サイズの人工種苗の行動特性の定量・比較と種苗性の指標行動の抽出を実施した(業績1、2)。
まず、天然トラフグ稚魚と人工種苗を捕食者(スズキ)を収容したメソコスムに放流し、5日後の生残と成長の追跡調査を実施した。その結果、人工種苗は天然稚魚に比べて捕食に遭いやすく、天然稚魚の生残率(86%)は人工種苗のそれ(56%)よりも有意に高かった。この間の行動観察から、天然稚魚はベントスを積極的に摂餌するのに対して人工種苗は天然餌料を摂餌していないことと、天然稚魚は底層を遊泳するのに対し人工種苗は表層や中層を泳ぐ個体が多いことが分かった。遊泳水深の違いが被食の強弱を決定する要因の一つと推察された。
そこで、種苗性の指標行動として、新規環境に晒されたときの稚魚の遊泳水深に着目することとした。50〜500L規模の実験水槽に稚魚を移槽し、移槽直後から数時間の遊泳水深の変化を調べた。その結果、天然稚魚は移槽後に底層を遊泳するのに対し、人工種苗は表層または中層を遊泳し、放流実験と同様の行動が観察された。このことから実験水槽を用いて種苗の放流後の行動を再現することが可能であり、その行動特性を定量か可能であることが明らかとなった。
さらに、人工種苗が放流後に底層を遊泳しないのは、飼育時に底質のない水槽で飼育されているために、放流後に底質を認知できないのではないかという仮説を立てた。そこで、水槽底面に砂を敷いた水槽とそうでない水槽で人工種苗を1週間馴致飼育し、その後実験水槽への移槽を行った。その結果、砂を敷いた水槽で馴致した人工種苗は移槽後に底層を遊泳することが明らかとなった。
以上のことから、底質への馴致という方法で、トラフグ人工種苗の放流後の行動を制御し、種苗性を高める可能性のあることが示された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Quantitative evaluation of post-release mortality using salt pond mesocosm: Case studies of hatchery and wild juvenile tiger puffer2008

    • 著者名/発表者名
      Shimizu, D., Sakiyama, K., Sakakura, Y., Takatani, T.& Takahashi, Y.
    • 雑誌名

      Reviews in Fisheries Science 16

      ページ: 195-203

    • 査読あり
  • [雑誌論文] トラフグ人工種苗の減耗要因の検討; 天然魚と人工種苗の比較2007

    • 著者名/発表者名
      清水 大輔・崎山 一孝・阪倉 良孝・高谷 智裕・高橋 庸一
    • 雑誌名

      日本水産学会誌 73

      ページ: 461-469

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi