研究課題/領域番号 |
19580212
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
吉田 照豊 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20240294)
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研究分担者 |
伊丹 利明 宮崎大学, 農学部, 教授 (00363573)
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キーワード | Streptococcus dysgalactiae / Seriola quinqueradiata / Seriola dumerili / 魚類レンサ球菌 / 疫学 / SodA / 新型レンサ球菌 / 旧型レンサ球菌 |
研究概要 |
S. dysgalactiaeは畜産動物において分離報告例がある細菌であり、養殖魚類において流行している菌株と畜産動物より分離される菌株の関連性が危惧された。両者の関連性を調査する目的で、市販の簡易同定キットを用いた酵素学的性状とバイアス正弦電場ゲル電気泳動法による分子遺伝学的性状および16S-23Sr DNAのIGS領域の部分塩基配列を比較した。酵素学的性状に関しては畜産由来菌株と魚類由来菌株間に差異は認められなかった。一方、バイアス正弦電場ゲル電気泳動による遺伝子型別では、畜産由来菌株において多様な遺伝型の出現が確認されたのに対し、魚類由来菌株の遺伝型は多様性に乏しく、そのいずれの遺伝型も畜産由来菌株と同一のものは確認されなかった。また、16S-23Sr DNAのIGS領域の部分塩基配列においても魚類由来菌株と畜産由来菌株間で共通の塩基置換が認められた。 魚類由来菌株と畜産由来菌株の相違をより詳細に検討するために、ハウスキーピング遺伝子の一つであるsodAの部分塩基配列を決定し、それぞれの菌株間で比較した。その結果、魚類由来菌株のsodAは全て一つのクラスターに分類されたが、畜産由来菌株のものは多様性が認められた。畜産由来菌株と魚類由来菌株間の塩基配列の相同性は97.2〜98.2%であり、畜産由来菌株の中に魚類由来菌株のsodAに完全に一致するものは確認されなかった。また両者のsodAの差異をマーカーとして、魚類由来菌株を畜産由来菌株と識別できるプライマーを設計することができた。これらの結果は、現在養殖魚類で流行しているS. dysgalactiaeは、畜産動物より分離されるものとは遺伝的に区別できることを示した。
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