第一の研究目的をかご漁業、刺し網漁業を対象に、既往の知見と合わせて日本の海面漁業におけるゴーストフィッシング死亡量の信頼できる推定量を得るためのモデルの確立(モデルの信頼性の向上)とした。これに基づき当該年度には、鹿児島件東町の沿岸漁場でかご・三枚網漁具の逸失とゴーストフィッシング量の推定・評価に取り組んだ。 三枚網によるゴーストフィッシング死亡に関しては、フィールド観察実験を完了し、三枚網のゴーストフィッシング能力の経時的減衰に関する実験式のパラメータを得ることができた。似通った構造を持つ漁具である刺し網の結果(申請者の過去の研究成果)と比較して、その能力が急速に低下することが分かった。三枚網のゴーストフィッシングに関して明確な結果を得たのは、世界で2番目であり、結果は平成20年度に開催されたWorld Fisheries Congressで発表した。 逸失かご内の動物の行動観察と死体数の撮影記録から、かご内での死亡発生に関連する要因をさらに詳細に分析し、単位逸失漁具当たりゴーストフィッシング死亡数に関する回帰式の精度を向上させ、日本水産学会誌に投稿すべく現在準備中である。
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