研究概要 |
(1)分布特性の解明:本年度は秋田沖からドブカスベを採集し、本種が山陰沖から北海道西岸までの日本海側に広く分布すること、および水平分布と垂直分布に海域間で大きな差は認められないこと、また体長組成も水深により大きな違いは認められないこと、性比は水深により異なることがあることなど、本種の分布特性が明白になった。 (2)食性の解明:窒素、炭素の安定同位体比分析に基づいた日本海産ドブカスベの食地位解明を試みた結果、全長400-800mmの間で、δ^<13>Cはわずかに上昇しただけであったが、δ^<15>Nは全長の増加に伴い約3‰上昇し、食地位が1段階上がることが判明した。また、δ^<13>Cは海域間で大きく異なることから、海域によって異なる食物構造に組み込まれているものと推定される。また、胃内容物解析と併せると、ドブカスベは日本海においては最高位の食地位を有するものと推測された。 (3)年齢と成長脊椎骨に見られる輪紋とは別に、尾部棘にも同様な輪紋が形成されることが判明し、輪紋形成パターに両者で差がないことが明らかとなり、商品価値を損なわない年齢査定法を開発した。また、3つの成長式の妥当性を検討したところ、ロジスティック成長式が最も当てはまりがよいことが判明した。 (4)性成熟:年齢査定の結果を当てはめると、ガンギエイは雄6歳、雌7歳で成熟に達すると判定した。ドブカスペは大型で成長が遅いため、♂♀ともに17歳になって初めて性成熟に達するものと推定された。 (5)銚子産エイとの生活史の比較:日本海産エイ類との生活史と比較するため,銚子産のコモンカスベを毎月30尾ほど採集し、年齢と成長、繁殖及び食性の研究を行った。現在データを集計し解析中である。
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