「水作り」という言葉がある。養殖魚類の受精卵を収容する飼育水の水質環境を微細藻類により整えることを指す。本研究では微細藻類による飼育水細菌群の制御機構の解明を目的とし、微細藻類の培養液に多く存在する善玉細菌(例: Roseobacter属細菌)の働きと微生物ループの生態学的機能に注目した。善玉細菌は常にビブリオ属魚病細菌の増殖を抑制したが、微細藻類が共存するとその抑制効果が飛躍的に向上した。また、飼育水温の高いクロマグロ仔魚はマダイ仔魚などと異なり、微生物ループを経由した栄養を積極的に利用していた。これは経験的に行われてきた「水作り」を、科学的に検証した初めてのケースといえる。
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