研究課題
有機スズ汚染が比較的軽微な茨城・平磯で2006年4月〜2007年3,月まで毎月イボニシを採集し、雄のペニス長、精巣重量及び頭部神経節重量を測定し、相対ペニス長(RP)、精巣重量指数(GSI)、相対頭部神経節重量(RG)を算出して季節変動を調べた。また組織標本を作製し、HE染色及びRXR抗体を用いた免疫染色を施した。4個体分のペニス、精巣及び頭部神経節の各組織をcomposite sampleとして、それぞれ5検体(20個体分)についてRXR遺伝子発現量(RXR gene)を定量的RT-PCR法を用いて測定した。雄のRPは4〜7月に増大したが、8月に3分の1程度に急減し、9〜10月に回復して、以後、概ね横ばいに推移した。一方、GSIは4〜6月まで増大したが、7月から減少に転じて9月に最低水準となり、12〜3月に徐々に回復した。HE染色した組織標本でも、ほぼ同様の組織の発達と退行が観察された。平磯のイボニシは7〜8月に交尾・受精し、産卵すると考えられた。RGでは明瞭な経月変化が観察されなかった。一方、ペニスのRXR geneは4〜8月に上昇し、9月に横ばいとなり、10月に再上昇して、以後、3月まで漸減した。精巣及び頭部神経節のRXR geneはペニスにおけるそれの1/10〜1/5程度であり、経月変化は不明瞭であった。イボニシ以外の種(レイシガイ、ヨーロッパチヂミボラ及びヨーロッパアラムシロガイ)のペニス、精巣、卵巣、消化腺及び頭部神経節にHE染色とRXR抗体による免疫染色を施し検鏡した結果、程度の差はあったが、いずれの種もイボニシと同様にRXR抗体で染色された。RXRは前鯉類の種に広く分布し、共通の機能を有していると考えられた。今後、輸精管の形成機序との関係や種差などについて検討を進める。
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Cell Biology and Toxicology
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