研究課題
本研究では、RXRの機能解析を、雄性生殖器の分化・成長との関係に着目して実施した。具体的には、1)TBT曝露に伴うイボニシのペニス形成部位の形態観察及び遺伝子発現の経時観察、2)イボニシにおけるペニスの成長や退縮に関わる遺伝子の探索、3)全生活環での飼育技術が確立されているバイにおける生殖輸管形成機序の観察、4)バイにおけるRXRの組織内分布の検討並びにイボニシとの比較、5)ヨーロッパチヂミボラ及びヨーロッパアラムシロガイに対する9-cis溶レチノイン酸(9CRA)の効果を検討した。1)と2)については、佐渡産イボニシに対するTBTの筋肉注射試験を実施し、1,2及び4週間後に取り上げて採材(雌では右触覚後部のペニス形成部位から陰門に至る部位を4分割、雄ではペニスから摂護腺に至る同部位を4分割)して、ペニス及び輸精管の分化・成長過程におけるRXR遺伝子発現の経時変化を追跡し、解析した。また、イボニシ試料を用いた他の核内受容体、RXR標的遺伝子、下流に存在すると見られるペニス成長因子などの検索も進めた。3)について、鳥取県栽培漁業協会のご好意・ご協力を得て、2007年級群について孵化後半年毎にバイ種苗の提供を受け、継続して成長の追跡と性分化過程の解析を進めた。その結果、イボニシと異なり、バイでは生殖器官の分化がかなり遅いことが明らかとなった。4)について、バイにおいてもイボニシなどとほぼ同様の結果を得た。5)について、ポルトガル・アベイロ大学との共同研究として、ヨーロッパ産前鰓類2種(ヨーロッパチヂミボラ及びヨーロッパアラムシロガイ)に対する9CRAの筋肉注射試験を実施し、両種ともに陽性と見られる結果を得た。
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