研究概要 |
イトマキヒトデの幽門盲のうホスホリパーゼA_2(PLA2, EC3.1.1.4)は市販ブタ膵臓PLA2と比較して約30倍高い陽イオン性基質分解活性を示し、特徴的な基質極性基特異性を有する。本年度は、イトマキヒトデ幽門盲のう由来PLA2の結晶化、コールドショック発現ベクターを用いたイトマキヒトデ活性型肌A2の調製、大腸菌により発現したイトマキヒトデPLA2の結晶化等を試み、おおよその結晶化条件を得る事ができた。すなわち、クリスタルスクリーン1および2キットを用いて100通りの条件で結晶化を試みたところ、イトマキヒトデ幽門盲のう由来PLA2は0.1M酢酸Na(pH4.0)-0.02MCaCl_2-30%MPD、0.1M HEPES(pH7.5)-0.2M CaCl_2-28%PEG400、0.1M HEPES(pH7.5)-1.5MLiSO_4の条件で、大腸菌発現PLA2は0.1M Tris-HCl(pH8.5)-0.2MLiSO_4、0.1M HEPES(pH7.5)-0.8M酒石酸KNa、0.1M HEPES(pH7.6)-1.4Mクエン酸、0.1M酢酸Na(pH4.6)-0.2M硫安-30%PEG2000、0.1MMES(pH6.5)-0.2M硫安-30%PEG5000、0.1MHEPES(pH7.5)-0.5M硫安-30%MPD、0.1MHEPES(pH7.5)-0.05MCdSO_4-1M酢酸Naの条件で結晶が析出した。 また、イトマキヒトデPLA2の結晶化の条件設定のために、海産生物由来の酵素としてカタクチイワシ内臓トリプシンアイソザイムIおよびIIを精製してそれらの結晶化を試みたところ良好な結晶を得る事ができ、アイソザイムIのX線結晶解析に成功した。
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