バカガイ中腸腺由来のアダプター連結cDNA断片を鋳型としてカルバミラーゼIの内部配列から設計した縮重プライマーとアダプター配列のプライマーでnestedPCRして得られた増幅断片を塩基配列解析したところ、1種は設計したプライマーの配列を有したが下流の配列が元の内部配列のアミノ酸配列と一致せず、プライマーを設計した部分のアミノ酸配列の読み枠ではストップコドンが多く入るため目的遺伝子ではないと判断した。 次にバカガイ及びサラガイの中腸腺からmRNAを抽出し、Creator^<TM> Smart^<TM> cDNALibrary Construction Kitにより、完全長cDNAのライブラリーを作成した。得られたプラスミドライブラリーからM13のforwardとM13reverseプライマーを用いたPCRによりインサート部分を増幅した。本増幅産物を鋳型として、ベクター(p DNR-LIB)の配列から設計したプライマーとカルバミラーゼIまたはスルホカルバミラーゼIの内部配列から設計した縮重プライマーを用いてnestedPCRし、得られた増幅断片を塩基配列解析した。バカガイのライブラリーからは非特異的増幅した断片のみ得られたが、サラガイのライブラリーからは特異的に増幅した121bpの断片が得られた。本配列はスルホカルバミラーゼIの内部配列EVGSFEAに対応するプライマーの配列及び1個のストップコドンに続いて非コード領域とpolyAを有することが分かった。本配列はHCBIのBLASTによる相同性検索で相同性の高い遺伝子がヒットしない新規な配列であり、目的遺伝子の候補と考える。
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