研究課題/領域番号 |
19580241
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
工藤 昭彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00073966)
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研究分担者 |
伊藤 房雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (30221774)
齋藤 和佐 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90241554)
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キーワード | 農地制度改革 / 農地政策改革 / 農地保有合理化 / 農地の面的利用集積 |
研究概要 |
本年度の研究実績は下記のとおりである。 農地保有合理化事業による一括利用権設定を活用した農地利用調整及び特定法人貸付事業を活用した株式会社等農外法人の農業参入現地事例について、ヒアリング調整を行い、これまでの調査事例の分析結果を含め、テナントビル型農場の創設に関する下記のような総括的知見を得ることができた。 1.農地の面的利用集積という平成の農地改革を推進するには、市場メカニズムによる調整が困難なことから、地域の実情を反映した計画原理手法に基づく重層的推進組織の設置とそれら組織の機能連携が不可欠なこと。 2.改正農地法・基盤強化法の下での委任・代理方式による農地利用調整についても、集地利用集積円滑化団体にコーディネーター等を配置してこれを行うこととしているが、事例研究に基づく検討結果からすれば、本研究で明らかにしたような同様の重層的組織の設置と機能連携等の措置が必要だと考えられること。 3.集積された農地利用の先導的担い手は、民主党農政下で多様な担い手にシフトしつつあるが、ある種の公共性を経営活動に織り込んだ農業版ソーシャルエンタープライズ(複合アグリビジネス事業体)的な担い手の創出が望まれており、既にこれに類似した注目すべき事例が東北地域にも存在すること。 4.テナントビル型農場の創設に不可欠な農地利用調整の基礎的単位として、地域資源の維持管理を暗黙知として共有してきた集落等の役割が依然として大きいことから、差し当たり農場創設にあたっては集落の整数倍単位の地域を母体とした取り組みが合理的だと考えられること。
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