研究概要 |
農業廃プラの適正処理に関わる中間・最終処理業者の施設運営と経営強化,並びに中間処理されたプラスチックの輸出・再生品市場・静脈産業の確立の解明に向け、(1)宮崎県及び鹿児島県において、長年回収中間処理に当たってきた業者のK、M、Sを調査し、世界同時不況による中国等の海外市場が急収縮するなか、廃農ビ資材の回収量・品目構成・分別レベル、並びに処理料や販売動向について聞き取りを行い特徴を把握した。また(2)熊本県で新規参入し急速に地歩を固めてきたCA社について再度調査し、世界同時不況下の回収、経営、販売動向について聞き取りし、その特質と問題点を解析した。さらに(3)廃農ビ処理業から撤退を表明した栃木県のF社を聞き取りし、行き詰まりの要因を分析した。(4)廃農ポリ等の処理業者について、特に数年前、廃農ポリのマテリアルリサイクルの技術開発に成功し実用化を進めてきたH社の農業用廃プラ処理業務の展開について世界同時不況下の実態について解析し,合委託加工方式が,現在廃棄物処理事業とされている農業用廃プラ処理を資源再生事業に転換させる契機になるかどうか,引き続き検討した。(5)廃農ポリ処理を主とする三セク方式の山梨県農業用廃プラスチック処理センターにおける加工処理施設の稼働状態と処理形態転換の実態と要因について調査し解析した。 これらを通じ、処理業者の動向に強く影響を与える要因として、需要拡大期と需要収縮期における農業用廃プラ回収における競争構造の具体像、並びに需要拡大期にはブレークスルー型イノベーションを実現した処理業者でも破壊型イノベーションの業者に負けていき、需要収縮期には破壊型イノベーションの業者が撤退し、農業廃プラ処理の担い手が不安定化している実態とそのメカニズムを解明し、その改善策を提示した。
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