研究課題/領域番号 |
19580250
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
伊庭 治彦 神戸大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (70303873)
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研究分担者 |
高田 理 神戸大学, 大学院・農学研究科, 教授 (90171446)
高橋 明広 独立行政法人農業, 食品産業技術総合研究機構, 主任研究員 (20355465)
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キーワード | 地域農業支援 / ワンフアー化 / NPO組織 / 一律的助成金 / 競争的助成金 / 関係機関 / スモール・ファーム |
研究概要 |
本年度は研究初年度であり、日米両国において事例調査を行い実態の把握を行った。日本においては、兵庫県青垣町において地域農業支援活動を行うNPO法人「神楽の郷」に対して、米国においては、カリフォルニア州において小規模農場に対して支援活動を行うNPO法人Capay Valley Vision(CVV)およびAgriculture and Land-Based Training Association(ALBA)に対して、さらに、これら両組織を支援する関連組織Organic Farming Research Foundation(ORFR)およびCommunity Alliance with Family Farmers(CAFF)に対して、それぞれ聞き取り調査を行った。また、カリフォルニア大学デービス校スモールファーム・センターにおいて関連資料の収集を行った。 これらの調査の結果から、日米間での地域農業・農場に対する助成金の内容や性質、また支援主体の性格と機能に関する違いを明らかにするとともに、その違いが農業構造だけでなく、社会的・文化的背景に起因することを明らかにした。とくに、米国において競争的助成金が小規模農場支援に高い効果をあげるためには支援主体であるNPO組織が有効に機能することが必要となるが、このための前提条件としてNPO組織および同組織員としてのキャリアが労働市場で高く評価されるという社会的背景が機能している。このことは、同様の社会的背景を有しない日本において関係機関のワンフロアー化の受け皿としてのNPO組織を想定する場合の制約条件を意味する。すなわち、NPO組織の機能を担保するための組織構造や財務構造を構築した上で、日本型の支援システムを再編することが必要となる。
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