農業分野におけるISO14001認証取得農業経営体への聞き取りおよびアンケート調査を行い、その結果を「農業におけるEMSと環境会計導入の意義と課題」として学会誌に発表した。EMSは環境マネジメントシステムのことであり、それの農業への導入と環境会計導入の意義と課題について論じた。EMSと環境会計、ISO14001、そして、環境保全型農業におけるにやさしい基準となる、適性農業規範(GAP)は、農業政策における、環境支払制度(環境にやさしい農業への直接支払)において、互いに関連した研究課題であり、相互関係を体系的に整理した。 環境会計は、その対象、範囲から、マクロ会計、メゾ会計、ミクロ会計があるが、農業経営の個別で捉えた場合は、ミクロ会計となる。本年度は、ミクロ会計を中心に研究した。 EMS(環境マネジメントシステム)の手法として、国際的には、ISO14001という国際的基準があるが、一般の企業においても、大企業が中心となり、中小企業では、とくに、国際的な貿易などをしない場合は、日本の中小企業向けのエコアクション21の基準が、コスト面などにおいて勧められる。このことは、農業においても、エコアクション21の基準が有効と思われるが、取得農業経営は全国で3例しかなく、知名度の点で不十分である。ただ、農業におけるEMSはEUから入ってきた、適性農業規範(GAP)が滴していると考えられる。これを基にして、農業に有用な環境会計を構築していくことが重要である。そのため、農業におけるさまざまな認証制度について比較検討し、今後の研究方向を探った。学会発表「農業における認証制度の比較検討」はその一環である。また、農業は面的に地域とのかかわりが強くメゾ会計も重要である。そのため、集落営農での環境会計研究としては次年度に本格的に行うが、前もって調査したものを「集落営農における環境会計の適用」のタイトルで学会発表した。
|