ヨーロッパの青果物流通の輸送包装容器は、2006年には年間約51億個程度が利用されており、2002年に比べて約1.2倍の増加となっている。特に、わが国の青果物でも利用が増大してきたプールマネージメント会社の管理運営のRTCに関しては、ヨーロッパの青果物流通では、2002年の5.2億個から、2006年にはその1.6倍の8.1億個が利用されている。ヨーロッパでは、RTC循環における紛失防止システムは、プファンドシステムに始まり、RTC利用が急速に増大していくなか利用者のプファンドの負担軽減策としてプファンドクリアリングシステムと言われる新たな紛失防止システムなどの導入が進められてきた。ただ、新たに紛失防止システムとして導入されたクリアリングシステムは、従来のプファンドシステムと同じくRTCの紛失防止システム機能は果たしているが、生産者やプールマネージメント会社にとってはコストアップとなっていることが明らかになった。こうしたなかインターネットやRFIDなどを導入した紛失防止システムを導入しているプールマネージメント会社も登場しつつある。この紛失防止システムは、RTC利用者全てが利用できる紛失防止システムとなっており、どこかの段階だけにメリットがあるこれまでの紛失防止システムとは異なり、全利用者のプファンド負担軽減が可能である。また、このシステムは、卸売市場を経由したRTC利用においても十分対応可能なシステムである。 わが国の輸送包装容器においても段ボール容器にかわりプールマネージメント方式のRTCの利用が、特に青果物広域流通で増大してきている。その数は、2007年は約6000万個のRTCが利用されている。ただ、わが国のRTCの紛失防止システムについて外観する限り、現状では、RTCの紛失防止システムが十分機能しているとは言い難い。しかし、わが国でも、RFIDとインターネットを利用した紛失防止システムを構築する動きが芽生えつつあり、実用化に向けて実験的取組が始まってきたことが注目される。
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