1995年、わが国の青果物広域流通において、初めてプールマネージメント方式によるReusable Plastic Containers(RTC)の利用がスタートし、年々その利用が増大している。RTCの利用増大にともない、RTCの管理や紛失防止のために情報システム化が不可欠となっている。先行するヨーロッパでは、RTCの管理や紛失防止のため、すでにインターネットを利用した情報システムが導入され利用されている。わが国でも全農が「やまびこくん」と呼ばれるRTC管理のための情報システムを導入したが、RTCの管理や紛失防止システムとしては、十分機能しているとは言えない状況にある。こうした中、I社では、わが国で初めてRTCに電子(IC)タグを装着しRTCの管理や紛失防止のための情報化を進めている。I社では、業務加工用のRTCにICタグを装着し、情報システム化に向けての試験を実施した。その結果、本格的導入となれば、ICタグの活用によって、コンテナ回転数の向上・購入するコンテナ数の削減も可能となり、レンタル料の低減も期待できることが明らかとなった。ただ、RTCへのICタグの導入は技術的には可能だが、現状では読取器材などのインフラ整備のための費用負担に問題がある。そのためICタグ管理システムをハンディリーダへの対応に改修し、タグ情報の読み取り機材をゲートタイプからハンディタイプに変えることにより、インフラ整備の大幅な低価格化を実現した導入方法を検討している。 わが国の青果物物流におけるRTCの利用においても、徐々にではあるがICタグなどを利用したRTCの管理や紛失防止のための情報システム化の構築が進展してきている。RTCのICタグなどを利用した情報システム化は、わが国の青果物物流へのRTCの一層の利用増大のためにも不可欠である。それは同時に省資源型循環物流への転換による地球温暖化防止策にも大きく貢献すると言える。
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