平成20年度は、3ヵ年にわたる本科研費調査期間の本調査の年であり、バングラデシュ、インド、そしてパキスタンにおいて現地調査を行った。 バングラデシュでは19年度に本調査(コミラ県の2村における世帯調査)を行ったため、20年度は8月にその補足調査を行った。主な調査項目は、各世帯の経済的状況を示す指標となる犠牲祭の実施状況および断食月明けの貧窮税の受け取り状況である。また、不足しているデータおよび不明確なデータ収集を補足調査として実施した。現在、これまでの調査結果に基づいた論文を作成中である(近日中に学会誌等に投稿予定)。 インドでは、1998年に世帯調査を行った西ベンガル州ナディア県の1つの村において、21(2009年)年3月に、およそ150の世帯を対象に、各世帯の経済状況、過去10年間の経済状況の変化、生活改善のための戦略などについて調査票にもとづいた聞き取り調査を行った。また、マクロファイナンスと海外への出稼ぎについても貧困世帯および出稼ぎ世帯を対象に世帯調査を行った。バングラデシュの論文を投稿した後で、その調査結果の整理と分析に取り掛かる予定である。 パキスタンでは、21年2月に調査村の選定(パンジャーブ州マンディバハウッディン県)および調査村における予備的な調査を行った。予備的な調査としては、村の主要な人物から村の社会・経済の概況や村の歴史などのヒアリング調査を行った。また、数世帯を対象として、調査票によるヒアリングを行い、村の社会・経済の状況の概況把握を行った。本調査は、今年度の夏に行う予定である。
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