研究課題/領域番号 |
19580263
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
新沼 勝利 東京農業大学, 国際食料情報学部, 名誉教授 (60078160)
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研究分担者 |
井形 雅代 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (10231127)
大室 健治 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター, 研究員 (70455301)
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キーワード | 管理会計 / 原価計算 / 間接費分析 / 経営業務改善 / 農場経営合理化 |
研究概要 |
複合農業経営においては、作物別の直接費との記録と間接費の配賦に関する信頼性の問題から原価計算は容易ではなく、近年では省力化や技術の高度化に伴い資本集約的な経営が主流となりつつあるなど、農業経営そのもののあり方もの変化している。伝統的原価計算では、間接費の配賦は直接労働費、直接作業時間、直接機械作業時間などを基準としてきたが、活動基準原価計算(ABC)のように、正確なコスト把握ができ、経営管理や意思決定に有用な手法の農業分野への適応可能性を検討することは大きな意義があると考えられる。本研究はABCの適応可能性を実際の農場データを用いて実証的に明らかにし、その有効性を検討することを目的としている。 平成19年度では、ABCを適用するための記録が整う北海道網走市の第22利用組合および第26利用組合(畑作の組織型複合経営)、北海道岩見沢市の矢尾農場(畑作・野菜作複合経営の個別経営)の経営データを入手し整理した。 平成20年度は整理された資料をもとに、活動基準原価計算を適用した。網走市の利用組合については、現状でもかなり合理的な配分基準によって直接費・間接費の配分をおこなっているが、採算部門や不採算部門を見極める資料とはなっておらず、ABCの意義があることが認められた。矢尾農場の主な部門は、生食用トウモロコシ、ニンジン、生食用馬鈴薯で、間接費のできる限り生産額に応じて配分している。しかし、管理経費に関しては、必ずしもすべてを配分し計算しているわけではなく、正確な原価(生産費)とはなっていない。これらをABCに基づいて配分したとき、実施にはより多くの費用が発生していることになり、また販売価格を決定する際には新たに考慮しなければならないことが確認された。
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