当年度は、条件不利農地の維持と耕作放棄の抑制という中山間地域等直接支払制度の主たる目的に対しての政策実施効果を計るための数量的分析を、研究代表者の統括のもとに実施した。特に、当年度においては、統計分析のためのデータ整備に力を入れた。より具体的には、2000年農林業センサス時点まで整備済のデータとの結合を図った。近年の市町村合併の急速な進行により、過去のデータ(2000年までの農業センサスデータ、第3次土地利用基盤整備基本調査データ)との結合に、かなりの労力を要したが、このような中でのデータの結合自体、意義のあることだと考えられる。なお、上記の点は本来は前年度段階で実施する予定のものであった。しかしながら、2005年農林業センサス農業集落調査結果の公表が当初の予定より遅れ、前年度末段階になったことから、充分な対応ができていなかったものであった。このため、上記の作業については、当初の研究計画より遅れていたが、当年度の対応によって作業の遅れは、ほとんど回復できたものと認識している。 統計分析にあたっても、現地の実態認識は不可欠であると想定されることから、研究代表者、研究分担者の過去の調査実績があり、継続的に実態調査を続けている現地の実態調査を実施した。中山間地域等直接支払制度の第2期の実施状況さらには、森林、水産分野での直接支払制度についての実態について、より詳細に確認できたと考える。具体的には秋田県、石川県、徳島県、長崎県、において調査を実施した。
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