平成21年度は、合併前の集落営農組織の人的ネットワークには、組織設立段階の諸事情から組織マネジメントを十分に担うことが難しい役員を含む場合があることから、それら役員を前提に中核リーダーを軸に主たるリーダーが連携関係を構築するタイプと、こうした中核リーダーそのものが不在のために弱い紐帯しかもたないタイプがあることを明らかにした。また、組織統合に際して、従前の集落営農が有するそれらネットワークを引き継いだのでは、前者の場合は、中核的リーダーに情報が偏在し、集落間でのコンフリクトの発生や、情報が集中しやすい一部のリーダーに不測の事態が生じた場合に情報伝達の欠落等の問題が発生すること、後者の場合は、情報伝達に非効率が発生することを明らかにした。 組織統合に向けた重要なマネジメントとしては、従前の集落営農の役員であっても情報の主たる発信先となっていない場合は、統合組織の役員に配置しないこと、集落営農段階よりも情報の発信先を少数にすることで情報の集約と情報伝達の迅速化が図れること、役員配置に関して特定の集落に集中するのではなく、関連ある役職については、集落を横断して配置するなどの重層的な連携関係を構築することで、組織内のコンフリクトの発生の回避と特定のリーダー(ハブ)に情報が集積するリスクを回避できる迂回路が構築できること、こうした仕組みを構築した組織では、構成員の情報入手ができており、また、その組織参加意欲も高いことを明らかにした。
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