研究課題/領域番号 |
19580281
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
東 孝寛 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (00181066)
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研究分担者 |
大坪 政美 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80112316)
金山 素平 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (60398104)
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キーワード | 地盤沈下 / 有明粘土 / 干拓堤防 / 有限要素法 / シミュレーション |
研究概要 |
本年度は、主として現地調査や地盤沈下観測井データ、水準測量データなどをもとに、佐賀県白石地区における地盤沈下の背景や経緯、現状を把握し、地盤沈下のメカニズムについて検討した。その結果、白石地区では、能力が大きい水中ポンプが開発された昭和30年代初期から地盤沈下が始まったことや、佐賀県(1974年〜)や国(1985年〜)による一連の地盤沈下対策の効果が現れ、近年では地盤沈下はかなり沈静化してきているが、現在でもまだわずかながら継続していることを確認した。特に、4地点(天神、八戸、白石、有明)の設置深度が異なる地盤沈下観測井(佐賀県)における累積地盤沈下量と地下水位のデータから、有明粘土層の下位に存在する砂礫層の変位量は小さく、ほぼ弾性的な挙動を示すこと、つまり、白石地区を含む佐賀平野の地盤沈下は、大部分が有明粘土からなる浅部の沖積層の圧密(圧縮)により生じていることを検証した。 また、有明干拓地の表層地盤(層厚約27m)について求めた地下水位低下量と最終沈下量の関係についての試算から、地下水位の低下に対する沈下量の増加率は、地下水位が低下するにつれて急激に小さくなり、初期(地盤沈下開始時)の地下水位からのわずかな水位低下が大きな地盤沈下を引き起こすことが分かった。このことから、今後、白石地区の地下水位が初期の高さまで回復しない限り、地盤沈下は長期的に継続することが示唆された。 さらに、地盤沈下の将来予測や地盤沈下が干拓堤防本体へ及ぼす影響を評価するためのシミュレーションに必要な、有限要素法プログラムや解析モデルなどについての基礎的な検討を実施した。なお、有限要素解析に使用する地盤の材料定数に関しては、地盤沈下が生じる有明粘土層を構成する有明粘土の強度増加率、内部摩擦角の密度依存性や圧密特性(特に二次圧密特性)について主に検討した。
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