研究概要 |
かんがい用の溜め池環境に生活史をおく水生植物の多くは農業に伴う管理に生活史を合わせている農業依存種と考えられ,溜め池維持管理する行為の維持・消失に大きく影響を受けることが予想される。個体群存続可能性分析(PVA)にて水生植物の農業依存性を定量化するたねに,まず溜め池に生育する水生植物の動態とその生育環境をパラメータ化した。 1)溜め池周辺の空間情報のデータベース作成 既存の情報および植生調査時に対象とする溜め池が位置する立地条件(周辺の土地利用状況,周辺林の構成,集水域など)をデータベース化した。また,GISにて空間情報レイヤーとして各条件図を格納した。 2)溜め池植生動態のパラメータ化 2次期にわたり実施した香川県仲多度地域内の溜め池植生調査結果から,種群ごとの発生動態を++(発生多-発生多),+-(発生多-発生小),+0(発生多-発生なし),-+(発生小-発生多),-(発生小-発生小),-0(発生小-発生なし),0+(発生なし-発生多),0-(発生なし-発生小)の8カテゴリーに区分し,溜め池総出現数に対する変化率として各溜め池の植生動態をパラメータ化した。 3)溜め池管理がもたらす溜め池環境のパラメータ化 水位,光環境,水質環境をモニタリングしている溜め池のデータを用いて,溜め池管理者に対するアンケートから得られた管理行動がもたらす溜あ池環境の変化をパラメータ化することができた。 次年度は,溜め池環境をパラメータとして溜め池に出現する各種群の動態をシミュレートするとともに,種構成の異なる場合の溜め池植生動態の感度分析を行う。
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