本研究は、効率的且つ高品質なカンピョウ生産システムを構成する自動切削機および真空乾燥装置の開発を行った。 1.自動切削機の開発 職人的技術を必要とするカンピョウ切削作業を自動で行う切削機を開発した。職人技を持つ生産農家の切削条件を把握した。ほぼ中心に心棒を貫入されて上下逆転した状態のユウガオ菜果は350~550rpmで回転され、中央部のもっとも膨らんだ部分の切削では約400rpmであった。回転中にカンナと呼ばれる切削器具をユウガオ菜果に押し当てるが、その力は30~40Nであった。また、ユウガオ菜果を垂直に貫く心棒を中心に設置することによって偏心回転を回避でき、均一な切削を行うことができる。この条件を基に自動切削装置を試作し、機械によるカンピョウの自動切削を可能にした。 2.真空乾燥装置の開発 1)天日乾燥:晴天時は一日で乾燥可能であるが、曇天や雨天では乾燥日数が増加し、品質低下を生じる。晴天あるいは曇天でボイラーを補助的に使用した場合の乾燥条件と乾燥速度について把握した。晴天時の品温は35℃程度、仕上がりは手触りで経験的に判断され、乾燥終了まで約7時間であった。曇天時は乾燥時間が増加し、ボイラーを補助的に使用するため品温が40℃に上昇することもあった。乾燥終了時含水率は30~60%であった。色差計によるL値、b値はそれぞれ90程度、20前後であった。 2)真空乾燥装置 試作した真空乾燥装置を用いてカンピョウの真空乾燥条件を把握した。カンピョウ温度は初期には水分蒸発が大きく品温は上昇しないが、乾燥が進むと水分蒸発が減少し急激に品温が上昇する。その後、品温は再び一定温度を保持する。そこでこれら変曲点の含水率を検討したところ、急上昇点では含水率が100~300%で周囲温度により、差異が見られたが、その後の品温上昇停止点では周囲温度45~75℃において35~50%と周囲温度が変化しても余り差異が見られず、天日乾燥における経験的な乾燥終了時の含水率とも一致した。よって、品温上昇停止時を乾燥終了とすれば良いことが判った。
|