研究概要 |
1.帯電した農薬と接地した金網による農薬の遮へい 大地から電気的に絶縁した農薬散布器のノズルに高電圧を印加し,接地した金属製ダミーツリー(「農薬が付着してはいけない農作物」を模しもの)に向けて水(農薬を模したもの)を無風状態で散布する.ノズルとダミーツリーの間には接地した金網を置く,帯電した水はダミーツリーに到達するまでに金網に静電的に吸着され,電圧を印加しない場合と比較してダミーツリーへの付着量を減少させることができた.このことは静電農薬散布と接地した金網の併用により農薬ドリフトを軽減できる可能性を示したものである.このとき,金網とダミーツリーの間隔が,付着量の低減率に大きく影響することがわかった.今後は気流がある状態で上記実験を行い,農薬ドリフト軽減効果を更に検証する予定である. 2.栽培ナシ樹への静電農薬散布 電気的に大地から絶縁した動力噴霧器のノズルに高電圧を印加し,栽培ナシ樹への静電農薬散布を(1)無風状態(2)2m/sの追い風のもとで実施した.どちらの場合も散布ノズルに近い葉ほど薬液付着量が向上し,また,均一に付着することがわかった.また,実験(2)は実際の圃場で用いるスピードスプレーヤ(風で薬液を飛ばす)を念頭に置き,遠くの葉へも薬液を付着させることを目的としたものであったが実験(1)と比較して付着状態に改善はほとんど見られず,今後更に強い風速のものでの実験が必要である.
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