研究概要 |
本研究では,トマト苗へ水ストレスを与えた条件下で,光条件(単色LEDの組み合わせ)を変えた場合の苗の生長と蒸散量などの測定を行い,苗の中長期保存への適用性について検討した。 (1)各試料の給水量を生長に十分な60ml,光合成有効光量子束密度(PPFD)を60μmol/m^2s,庫内温度25℃および湿度40%とし,LEDの配合色比率を赤のみ,青のみ,赤1:青2,赤2:青1,赤3:青1,赤4:青1,対照区(高圧ナトリウムランプ:HPS)を設け,実験開始日の苗丈と10日後の苗丈との比を苗丈比率として表すと,LED赤3:青1が最も大きな苗丈比率(2.29)を示し,青の配合比率が多くなると苗丈比率は小さくなる傾向がみられ,青のみの苗丈比率(1.79)が最も小さい結果となった。 (2)PPFDをLED(赤2:青1)区および対照区で20,30,40,60μmol/m^2sとし,温度,湿度,給水量等は(1)と同じにし行った結果,苗丈比率が小さい順に対照区20(1.75),LED20とLED30(1.95)で,最も大きかったのはLED60(2.59)であった。この結果は,PPFDが小さいほど苗丈比率は小さくなる傾向を明らかに示した。 (3)給水量をおよそ3g,5g,7g,光にLED(赤2:青1)とHPS(PPFDはどちらも20μmol/m^2s)を使った場合の生長を比較した結果,苗丈比率では小さい順にLED5(給水量5g)(1.27),対照区3(1.32),LED3(1.38)となり,最も大きかったのは給水量が多い7gの対照区とLED区(ともに1.50)であった。 以上のことから,給水量を制限し,苗に水ストレスを与えることにより,簡易に苗の生長を十分抑制できることが分かった。更に光色の組合せを検討することで,より効率の良い苗の生長抑制が可能で,これらの手法は十分市販ベースの苗に適応できうると思われる。
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