研究概要 |
1.ハイパースペクトルデータ解析支援ソフトの開発 野外環境下において牧草の刈倒し列をセンシングしているために,測定データには刈取り牧草と雑草および土壌などのその以外の情報が含まれる。本年度は,牧草生育期間を通して植物体とそれ以外の分光反射特性を得ることで,牧草の刈倒し列を自動で抽出するアルゴリズムを開発した。 2.飼料作物栄養評価のための最適波長の検討 飼料一般分析値(TDN,CP,水分等)を基に,変数選択(ステップワイズ法)による重回帰分析により検量線を求め,交差検証法により検量線を検証した。また,検量線の評価にEvaluation Indexを用いて評価した結果,Cランクとなり実用可能であると判定された。選択された波長は10個で,波長帯は可視・近赤外の両領域にまたがってあった。 3.野外環境下における撮影方法および撮影時期の検討 ハイパースペクトルセンサ(分光放射計,SPAD計を併用)を用いて生育ステージ毎の変化を調べた。牧草の場合,立毛状態と刈倒し列の撮影では大差が無かった。一方,デントコーンでは,葉の撮影と空撮など面の撮影では正規化植生指数に差が見られた。また,雑草が繁茂する圃場条件では正規化植生指数による評価が妥当性を欠く可能性が示された。 4.栄養成分と植生指数および光合成・蒸発散量との関係 除草剤を用いていない試験区と慣行法による対照区を比較した結果,雑草の繁茂による生育阻害の影響を光合成量から明らかにすることができた。
|