研究概要 |
平成20年度は,平成19年度に調製したパン酵母に対するヤギ乳IgGと免疫に用いたパン酵母をI型アレルギー自然発症モデルマウスであるNC/Ngaマウスの飼料に混合して与え,ダニ抗原でアレルギーを誘導し,アレルギー症状のやアレルギー関連パラメーターの分析を行うことにより,パン酵母とヤギ乳IgGがI型アレルギーモデルマウスにおいてアレルギー症状の発現を軽減するかどうかを調べた。まず,生後4週齢のNC/Ngaマウスを購入し,一週間の予備飼育後,パン酵母とそのヤギ乳IgGを含む飼料,並びにそれらを共に含まない飼料(コントロール飼料)で飼育したところ,飼育期間を通して,飼料摂取量,飲水量および増体重には両群間で有意な違いは見られなかった。本結果は,コントロール飼料群とパン酵母とそのヤギ乳IgG添加飼料群の間に栄養面やストレス面での有意な差はなく,本試験で得られた結果はパン酵母とそのヤギ乳IgGの生理的作用に基づくことを示唆している。一方,コントロール飼料群の半数に明らかにアレルギー症状が確認された時点で,両群のマウスのアレルギー症状を比較したところ,パン酵母とそのヤギ乳IgG投与群ではダニ抗原で誘導される耳介部分の腫れがコントロール群よりも弱いとともに,脱毛や出血等のアレルギー症状も弱いことが確認された。また,それら投与群はコントロール群と比べて脾臓のTh1型細胞数や腸管の免疫グロブリンレベルが低いことが確認された。以上の結果は,パン酵母とそのヤギ乳IgGの経口摂取は遺伝的にI型アレルギーモデルマウスにおいてアレルギー軽減効果があることを示している。
|