実験動物として世界各国で用いられているウズラ(quai1)はニホンウズラ(Coturnix japonica)である。他に、サイズがニホンウズラの約半分のヒメウズラ(Coturnix chinensis)および約二倍のコリンウズラ(Colinus virginianus)もわずかながら実験に用いられている。ニホンウズラやヒメウズラは旧世界ウズラ(キジ目キジ科ウズラ属)に属し、コリンウズラ(キジ目ナンベイウズラ科コリン属)は新世界ウズラに属している。両属のウズラは外見は似ているが遺伝的には離れている。コリンウズラ及びブロイラータイプのニホンウズラの成体重は類似し、雌雄それぞれ約220g及び200gであった。卵重は約10.5g及び11gであった。始原生殖細胞の免疫染色においてはコリンウズラはニワトリ特異的抗体陽性、ニホンウズラ特異的抗体陰性であった。通常のニホンウズラよりサイズが大であるため、両ウズラの専用のケージを設計して、系統造成した。ブロイラータイプのコリンウズラは我々の飼育環境では次世代を得ることはできなかったため、再度入手を検討しなければならない。一方、ヒメウズラは雌雄とも成体重は50-60gであり、始原生殖細胞はニホンウズラと同様の免疫特異性を示した。ヒメウズラの胚培養法を確立し、種特異的PCRマーカーを開発した。それぞれのウズラの生物学的類似性、異質性の一部が明らかにされたので新規実験動物の系統として有用であることが示唆された。
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