研究概要 |
実験動物として世界各国で用いられているウズラ(quail)はニホンウズラ(Coturnix japonica)である。他に,サイズがニホンウズラの約半分のヒメウズラ(Coturnix chinensis)および約2倍のコリンウズラ(Colinus virginianus)もわずかながら実験に用いられている。ニホンウズラやヒメウズラは旧世界ウズラ(キジ目キジ科ウズラ属)に属し,コリンウズラ(キジ目ナンベイウズラ科コリン属)は新世界ウズラに属している。両属のウズラは外見は似ているが遺伝的には離れている。染色体レベルではニホンウズラとニワトリは構造やその特徴において類似点が多いが,コリンウズラとの間には構造変化が起こっており,染色体を構成する反復配列も大きく異なっていた。コリンウズラのゲノムDNAをHaeIIIで消化しアガロースゲル電気泳動を行い、クローニングを行い、シークエンスを決定した。 コリンウズラの雌の胚から作製した染色体標本を使用してFISH解析を行ったところ224bpで、8bpのサテライト(G/A/C)CCCA(T/C)(A/T)(G/C)を14個含んでいた。これはW染色体を除く全ての染色体のセントロメア領域にシグナルが検出された。コリンウズラの雌雄識別のために性特異的PCRプライマー(For : 5'-GTTACTGATTCGTCTACGAGA-3' ; Rev : 5'-ATTGAAATGATCCAGTGCTTG-3')を用いた雌雄鑑別を実用化した。それぞれのウズラの生物学的類似性,異質性の一部が明らかにされたのでコリンウズラは新規実験動物として有用であることが示唆された。
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