研究課題/領域番号 |
19580318
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
田中 智夫 麻布大学, 獣医学部, 教授 (40130893)
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研究分担者 |
植竹 勝治 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (00312083)
江口 祐輔 麻布大学, 獣医学部, 講師 (60367240)
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キーワード | 産卵鶏 / 福祉 / 飼育システム / 行動 / 生理 / 生産性 |
研究概要 |
バタリーケージおよび福祉ケージそれぞれ2つのグループサイズに加えて、平飼およびそれに野外運動場を付設した鶏舎の合計6つのシステムに供試鶏を収容して長期的に比較する。すなわち本研究では、我が国の採卵養鶏において現在も多く採用されているバタリーケージと、巣箱・砂浴び場・止まり木を設置した福祉ケージ、および平飼鶏舎のそれぞれに、現在EUで推奨されている密度で採卵鶏を収容し、行動および生理反応を定期的に記録するとともに、生産性および健康性の観点からも評価し、多面的に比較を行う。これにより、バタリーケージの長短所および真の問題の有無とその改良法を明らかにすることにより、ケージ養鶏の存続あるいは改廃のための明確な科学的根拠を示すことを目的とした。 平飼いで育雛された284羽の産卵鶏を供試し、16週齢時に、上記の6システムに分配した。本年度はまず、導入後2週間および導入4・7週目における行動・空間利用の変化を調査した。バタリーおよび福祉ケージとも、摂食割谷は導入1日目から3日目にかけて増加し(P<0.05)、その後、一定になった。非ケージシステムでは、摂食割合は導入直後から変化は見られなかったものの、放飼区における食草割合は、導入後2週間で直線的に増加する傾向にあった。野外運動場の利用割合も、同様の傾向を示した。先行研究との比較から、(1)導入前の環境に関係なく、ケージシステムへの順化は数日で行なわれること、(2)非ケージシステムへの順化は、ケージよりも非ケージシステムで育雛された場合に早くなることから、非ケージシステムから非ケージシステムへの導入が、より福祉的であること、(3)導入前の環境が非ケージシステムであっても、放飼への順化は2適間以上を要することなどが示された。 その後、行動観察を続けるとともに、生産性および卵質、体重・爪の長さ・羽毛等の健康状態、生理・免疫反応などを定期的に測定している。
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