研究課題/領域番号 |
19580320
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
川島 千帆 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (20374770)
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研究分担者 |
松井 基純 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (20374762)
木田 克弥 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (70419216)
清水 隆 帯広畜産大学, 大学院・畜産学研究科, 助教 (90375113)
宮本 明夫 帯広畜産大学, 大学院・畜産学研究科, 教授 (10192767)
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キーワード | 繁殖学 / 遺伝学 / 栄養学 / 生理学 / 獣医学 |
研究概要 |
同じ飼養管理下で同じ乳量の高泌乳牛の中にも繁殖性が良く、疾病に罹りにくい牛とそうでない牛がいる。この違いはどのようなことが原因で起こるのかは、明確になっていないが、乳量を重視した遺伝選抜が関係している可能性は少なくない。そこで初年度は、分娩後の卵巣機能回復に強く関わっているIGF-1の産生や泌乳、成長を促す成長ホルモンの受容体(GHR)に牛においても多型が確認されたことに注目し、牛群におけるGHRの各タイプの割合、分娩後の卵巣機能回復および育成牛の成長や代謝状態との関連性を解析した。 1.牛群におけるGHRの多型について 飼養頭数約170頭の1牛群から無作為に42頭抽出し、GHRの多型を解析した。 その結果、野生型が5頭(12%)、片側変異型が18頭(43%)、両変異型が19頭(45%)で、野生型が非常に少ないことが明らかになった。 2.GHRの多型と分娩後の卵巣機能回復との関係 私たちはこれまで、分娩後最初の主席卵胞が排卵した牛は、排卵しなかった牛に比べて、その後の繁殖性が良好であることを示した。そして、この排卵には肝臓で産生されるIGF-1が強く関わっており、IGF-1産生は成長ホルモンによって促進される。そこで、GHRの多型と分娩後の最初の主席卵胞の排卵の有無との関連性を解析した。 上記「1」の試験で、初年度に排卵の有無を確認できたのは21頭であった。21頭のうち、排卵した数は、野生型が2/2頭(100%)、片側変異型が5/10頭(50%)、両変異型が3/9頭(33%)で、GHRの遺伝的形質の違いが、分娩後の卵巣機能回復に影響している可能性が示唆された。 3.GHRの多型と育成牛の成長や代謝状態との関連性 3-24ケ月齢の育成牛を対象に現在も引き続き調査中である。 以上より試験対象牛群において、GHRの片側および両変異型の牛が多いこと、さらに両変異型の牛は分娩後最初の主席卵胞が排卵しない、すなわち分娩後の卵巣機能回復が遅れる可能性が示唆された。
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