研究概要 |
持続的低周波電気刺激(CLFS)によって,ウシ腰最長筋の筋線維型がFast-to-Slow変化する過程を免疫組織学的に解析したところ,30日間のCLFSによってFast型ミオシン重鎖(MyHC)陽性の筋線維割合が73%から49%に減少し,一方Slow型MyHC陽性筋線維の割合が13%から26%に増加した。また,Fast型とSlow型の双方のMyHCを有する中間型筋線維も14%から25%に増加した。この時,筋収縮調節蛋白質であるトロポニン(Tn)T-slow型とTnI-slow型の陽性反応は, slow型と中間型筋線維で検出されたが,Fast型MyHC陽性反応が優勢な筋線維ではTnT-slow、TnI-slowの陽性反応はほとんど認められなかった。筋線維型移行過程におけるTnアイソフォームの変化は,MyHCアイソフォームのFast-to-Slow変化に追随して起こることが明らかとなった。さらに,筋線維型変移部を切り出し,ミオスタチンmRNA発現を半定量的RT-PCR法により解析したところ,CLFSによる持続的な筋運動の結果,ミオスタチンmRNA発現量が減少することが判明した。このことは免疫組織化学的に筋線維のミオスタチン陽性反応が減弱することからも確かめられた。 3次元解析ソフトによる画像再構築手法を検討し,データ集積を実施した。CLFSによる筋線維型変移は筋線維の全体が同調して起こるのではなく,部分的変移から筋線維全体に変移が進行する可能性が示された。
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