研究課題/領域番号 |
19580343
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
杉元 康志 鹿児島大学, 連合農学研究科, 教授 (10100736)
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研究分担者 |
岡 達三 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50116795)
日下部 宜宏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30253595)
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キーワード | オボアルブミン / 神経管閉鎖阻害 / NTD胚 / セルピン / 遺伝子発現 / 形態形成因子 / 発生異常 |
研究概要 |
卵白タンパク質のオボアルブミンはセリンプロテアーゼファミリーに属しているが、その生理機能は不明であることから発生卵を使った解明が必要である。ニワトリ初期胚ではオボアルブミンが欠損すると神経管閉鎖が阻害され、いわゆる神経管欠損症(NTD)胚となり、脳胞の形成が不完全となる。オボアルブミンとNTDとの関係は不明であったが、正常胚とNTD胚の発現遺伝子をマイクロアレイで解析した結果、細胞コミュニケーションと細胞接着に関する遺伝子群に発現の低下が顕蓍に見られた。その他、形態形成因子や葉酸代謝系、細胞周期、アポトーシス関連遺伝子にも変化が見られ、オボアルブミン欠乏の影響で細胞状態に大きな変化が起こっていると推定された。オボアルブミンのターゲットとなる分子の探索を行い、いくつかの候補となる分子を得ることが出来た。もっとも可能性のあるものはslugとPax3であると推定されたが、他にもプロテーゼ関連分子などが候補として同定されたが、確実な情報にするにはまだ、相当な追加実験が必要である。オボアルブミンは発生初期過程でタンパク構造変化を起こし、熱安定型となることが機能の発現に重要と思われ、事実、オボアルブミンを欠損した初期胚に構造変化したオボアルブミンを供給することで神経管閉鎖阻害が蓍しく回復することからその重要性が裏付けられる。 本研究はオボアルブミンの機能を明らかにする目的で研究を進めたが、ニワトリ初期胚で欠損した場合、NTDを生じるという発生異常を起こすことから、ヒトに見られるNTDの発生と関連するものとして注目され、ヒトにおいても神経管鎖に関わる遺伝子群の異常とオボアルブミンと同じ機能を有する分子の機能喪失が原因となり、このような発生異常をもたらす都考えられ、NTD発生の原因の解明に繋がる研究となった。
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